前記事にもあるように、私は既に2回会社を辞めています。
今は「会社員」というよりも「契約社員」もしくは「フリーランス」に近い形態で仕事をしてる自宅就労者です。
2回とも、辞めたことを後で激しく後悔しました。
原因はどちらも一種の人間関係で、退職願いを書く時に心の中にあったのは「辞めようかどうしようか悩んでいるこの時間が無駄!!」ということでした。
最初の会社は、学生時代に友達と企画したイベントの準備をしている時に出会った素敵な女性との出会いがきっかけでした。
まだ大学を卒業する前からバイトとしてその会社で働きはじめました。その時は私を入れて5人でプロジェクトを進めていました。4月になって、正式に社員となった直後、たくさんの社会人が入社してきました。みんな30歳前後で社会人としての経験を豊富に持っている人ばかりでした。
その人達が会社にやってくるまで、事務所を掃除するのも、電話をとりつぐのも、面接のスケジュールを組むのも、細々した事務書類を作るのも全部私の仕事でした。だけど、それらの仕事が社員が増えた途端にほとんどなくなりました。そして私には「私の仕事」と言えるものが何一つなくなりました。
私は、会社での存在理由がなくなったような錯覚に陥りました。会社の仕事は当時乱立していたショッピングサイトの企画運営で、もうすでに「後発組」になりつつあり、会社は即戦力を求めていました。
だけど、私には武器になるようなスキルもなければ、経験もない。
教えてもらわなければ「出金伝票」がなんなのかもわからない小娘です。
私は凹み、大好きな先輩に相談しました。私にはできることが何もない、と。
今考えれば、誰も私にそんな期待は抱いていなかったし、できなくて当然のこと。それなのに「“私の”仕事がない」と泣きわめく私は、とても自信過剰で厚かましく子供だったなあ、と思います。
先輩はそんな私に呆れることもなく
「あなたには普通の新卒者が5年かかって覚えることを1年で教え込むつもり。だから10年後、私が歳をとったときに食わせてね」
と言ってくれました。
この言葉は一生忘れないと思う。
単純にすごく嬉しかったし、仕事は与えられるものではなく、自分で作るものであり、それを楽しいものにするかどうかは自分次第、ってことを教えてくれたから。
この先輩の他にあと2人の先輩にはたくさんのことを教えてもらったし、他の誰よりも多くの時間を一緒に過ごしました。
毎日が充実していて本当に楽しかった。
それなのに、辞めてしまったのは、社長や他の社員の人達と見ている場所が大きく異なっていたから。だんだん、4人で食事していてもため息が多くなりました。プロジェクトをどう成功させようか、というワクワクする話よりもどうやったらこの失敗を取り返せるのか、というような話題ばかりになっていったのです。
社長は一人こそこそ行動し出資者やシステム開発を担当している会社に、先輩たちが聞いていないような内容の約束をしていました。そのことについて問合せが来ても、誰も知らないので答えられない。外の人は不安を抱き不審に思います。そういう内部のほころびを繕うことばかりに追われ始め、本来の仕事に集中できなくなる。そんな悪循環が2ヶ月くらい続き、モチベーションも下がってきて「辞めようかな。今辞めたらダメかな」と考える時間が多くなったので、辞めました。
先輩たちもほぼ時期を同じくして辞めました。他の社員の人達もほとんど辞めました。
この退職で後悔したことは、自分は社長に意見をまともにせずに会社を去った、ということでした。自分の意見も言わず、社長の考えも聞かずに、ほとんど議論もせずに辞めたことを後悔しました。
次の会社はハローワークで見つけました。六本木にある新卒者向けのハローワークです。(最初の会社を夏に辞めたので、扱いとしてはまだ「新卒者」だった)
1年で辞めるつもりで入社しました。再び先輩たちと仕事がしたいと切望していました。その時のためのツナギとしか考えていませんでした。
結局、丸2年11ヶ月在籍しました。
不思議なポジションにある会社でした。制作会社と言えるような会社でしたが「営業」という肩書きの人は一人もいない会社でした。
どちらかと言えばアウトプットが多かった。それでも、クライアントとの付き合い方や、仕事の取り組み方など多くのことを学びました。
今でも、何が直接の原因となって辞めたのかよくわかっていません。
たぶん、逃げ出したんだと思います。
私を買ってくれる上司がたくさん居て「お前自身でやってみろ」といろいろな仕事を任せてくれるようになっていました。最初は嬉しくて、必死になって取り組んでいました。だけど、わからないことや不安なことが出てきて上司に相談しても、その時は納得できた気がしても後で振り返ると疑問が生じるような答えばかり与えられることに気づき始めました。そういう上司たちの態度を「めんどくさいんだ」とか「逃げているんだ」と感じるようになっていました。
今考えれば、自分自身でやるってことは、そういうことを含めて全部やってみろ、ということだったんだろう、と思えます。だけど私は、責任ある仕事はしたいけど、責任を負うのは怖かったのです。完全に会社に甘えていました。
そういう私を厳しく批判する人がいました。とても気のあう外部スタッフさんでした。私はその人の一言一句、一挙手一投足が怖かった。不安でいっぱいでした。どう言えば嫌われないかしら、どう振る舞えばその人の怒りが収まるのか、そんなことばかり考えていました。
そしてその不安に耐えられなくなって辞めた、たぶんこれが本心なんだと思います。
会社を辞めて実家に戻ってきたのは、環境の変化を求めたからです。
自分の力で自分自身を変えることができず、環境のチカラに頼りました。
だけど、何も変わらず、会社を辞めたことを激しく後悔する日々が続きました。
そして、今の社長に拾われました。
クライアントは2個目の会社と同じところです。ほぼ同じ担当者と、立場を変えて今でもつきあっています。怖くてたまらなかったあの外部スタッフさんともまたお仕事することになっています。
今は、2つの会社を辞めたことを後悔していません。辞めたから今ここにいられるのだから。
そして、逃げても無駄なんだ、とも思っています。会社でも環境でもなく、自分自身から逃げ出したのだから。自分自身はどこへ行ってもついてくるのだから。
それに気づくのに、4年もかかってしまったけど、遠回りだとは思っていません。あの4年間があったから気づけたのだと思うから。
正直な気持ちが表れてて読んでて気持ちが良かったです。
色んな障害から逃げないことはとっても大事ですけど、たまには自分を逃がして(休ませて)あげないと持ちませんよね。
ま、ボチボチと。Keep VOXing!!
通りすがりでした。
投稿情報: yasuyuki | 2006/09/18 01:36
Yasuyukiさん>
コメントありがとうございます。
たまには逃げることも必要だろうと思えるようになったのは、転職がきっかけだったかもしれません。
ボチボチと...大切なことだと思っています。
"テキトー"で仕事しちゃだめだけど、"適当"なくらいがちょうどいいのかも
投稿情報: heikuro | 2006/09/18 12:48