8月26日(水)に六本木ヒルズで行われたオンラインビジネスセミナー「企業ウェブサイトの王道を探る〜ホンダのウェブマスターに聞く、企業ウェブサイトの役割と活用のポイント〜」に参加してきました。
スピーカーは、本田技研工業のウェブマスターをされている渡辺春樹氏。
モデレーターは、ニューズ・ツー・ユーの神原弥奈子氏でした。
正直に言えば、このセミナータイトルやacademyhillsの告知ページで案内されていた講演内容と、実際に渡辺さんが語ってくれた内容に少し開きがあったように感じました。
私としては聞けて良かった話が多かったけれど、あちこちで夢の世界に旅立っている参加者さんが見受けられたのは、思っていたのと違う内容だったのかな?とも思ったりしました。
全部で2時間のセミナーで、プレゼンが60分。モデレーターとの対談が40分。質疑応答が20分。
とても駆け足なプレゼン、イマイチな対談だったので、対談いらないからもっとゆっくり渡辺さんのお話を聞きたかったです。
「HONDAウェッブサイトの戦略2010」という資料をベースに話は進みました。
これ、社内でも使っている資料じゃないかしら?
この資料が手元に残るだけでも、参加料分の価値はあると思います。
全体を通して感じたことは、「じゃぁ、自分たちは今、何ができるのか?」というコトです。
HONDAの企業サイトが2009年現在、立っているポジションと同じところに立ちたい、と思ってもHONDAと同じことはできない、と思います。
HONDAは、1996年に企業サイトを立ち上げる時に、Webサイトの目的を「顧客リレーション・コストの最適化」と定義づけています。
1996年にこの定義付けがされているなんて、これじゃぁ今現在大きく溝を開けられていたって仕方ないし、まだ当分はHONDAは他の企業サイトから1歩も2歩もリードし続けて行くだろうな、と思います。
1996年と言えば、個人でパソコンを所有し始めた頃です。
この頃私は学生で、パソコンはおろか携帯には手が出ずにPHSを持っている、まだまだポケベルも活躍していた頃。
VAIOが発売されて、PostPetが発売されて。
BBSとかメーリングリストでのコミュニケーションがスタートし始めた頃。
E-コマースという言葉が新聞にも頻繁に登場し始めたばかりの頃だと思います。
個人も企業も「インターネット」という新興勢力に魅了されていたあの頃に、「顧客リレーション・コストの最適化」という目的のためにWebサイトをスタートさせたHONDAはすごいな、と思います。
渡辺さん曰く、Webで販売台数を増やそうなんて当時から考えていない、とのこと。
既存のメディア露出に対してかかるパブリシティ費用を半分くらいまでコストダウンさせることが目的だ、と言うのです。
その考え方をあの時代から持っていたこともすごいけど、それを会社に納得させてきたことがすごい。
HONDAくらいの規模の会社であれば、流行の技術に飛びつきたい、という役員だって存在しただろうに…。
そこには、HONDAの企業理念が関係しているのかもしれません。
HONDAの企業スローガンは、「The Power of Dreams」。
Webサイトにもこのスローガンは登場していて、お客様と「夢」を共有するホームページ作りをしているそうです。
「夢」を追求する以上、利益とは相容れない。
だから、TOPページのメイン画像に現行モデル=一番売りたいモデルは絶対に登場せず、クラシックモデルのイラストだったり、HONDA製品のある生活がイメージされるものだったり。
ちなみに、HONDAサイトは平日と休日とではTOPページのデザインが異なるとのこと。
(休日バージョンをメインにしたいけれど、ユーザーアンケートでは45%くらいしか同意されていない。だからまだ変更できない←ユーザーとの対話による方針決定)
1996年にスタートしてから12年が経過した今、HONDAのwebサイトはマスメディアの効果測定としての機能を見せているそうです。
TVCMはもちろん、新聞への露出、電車広告などメディア露出した結果の効果がすべてWebサイトのアクセスでわかるようになっているとのこと。つまり、効果的なメディア露出方法はどれだったのか、がWebサイトのアクセスを見れば把握できる。となれば、費用対効果の高いメディアを見分けることができる=パブ費用のコストダウンが可能になっているのでしょう。
資料には「自前メディア」「メディアは“買う”から“生成する”時代へ」という文言が溢れています。
ここまでの結果がカタチにできているのだから、自前メディアの実現だって可能だろうな、という気がします。
Webマスターの言葉は重みを持ち、役員や株主達を納得させるだけの力があると思う。
翻って、現在、企業の中でWebサイトの価値を納得させられるだけの存在に成長させられていない場合。
自分は一体何をすべきで、何ができるのか、をじっくり考えてみたいです。
そのためにも、まずは別エントリーでセミナーのメモをまとめようと思います。
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