WESTロゴの入った黒いマシンに乗っているときは、チームメイトのロリス・カピロッシ同様「怖い人」だった。
顔も怖かったし、入れ込んでいるライダーが予選残り1分のところで4番手以内にいて「よしよし」と思っていると、必ずラストアタックでタイムを更新させてフロントローをかっさらっていくカピとバロスは怖くて憎たらしい存在だった。
だんだん気持ちが変わり始めるきっかけとなったのは、2001年か2002年の8耐(確かペアライダーは大治郎)。
日が落ちて暗くなってから西コースだけ雨が降り始めて、みんなのペースががくんと落ちたのに、バロスだけはほとんど同じラップタイムを刻んでいた。
「なんなんだ、バロスってライダーは!」という不気味さも感じたけれど、やっぱりすごいヤツなんだ、と思った。
ホンダからヤマハに移籍した最初の鈴鹿グランプリで、決勝前に転倒、負傷してしまったバロス。まわりはみんな欠場すると思っていたし、チームの人は欠場を勧めていたらしいけど、結局決勝に出場。
決勝前のお昼休みに、チームスタッフの肩を借りないと歩けないバロスを目撃した。周りにいたフランス人たちの表情からは、今からでもいいから欠場しろって、と言っているように見えた。そのくらい痛々しい姿だった。
今振り返れば、もしあの時欠場し、怪我の治療に専念していれば…と思ってしまうようなシーンを何度も見た。
でも、絶対に決勝走るんだ!というものが、バロスにはあったんだと思う。
そこまでさせる何かがレースにはあって、だから見ているだけの自分もこんなにはまってしまうんだろうし、ライダーはかっこいい。
ヤマハからまたホンダに戻ってしまったけれど、今でもバロスの活躍を期待し、応援してしまう。
顔だって、よくみればとてもかわいい目とまつげだし。
2006年9月17日追記
MotoGPからWSBKへとスイッチした今シーズン。
やっぱりバロスは魅力的なライダーだと思う。
コースアウトしたり、どこかでミスって大きく順位を落としても、必ず追い上げてくる。
職人っぽさを持っているのかもしれない。今年のマシンのカラーリングはいいね。
目立つし、「あ、バロス」ってすぐにわかる。
燃えているマシンを飛び越えたのもすごかったなぁ。
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